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倉場富三郎(1870-1945) 英名: Thomas Albert Glover

  彼は、幕末から明治維新にかけて活躍した著名なスコットランド人貿易商 Thomas Blake Glover の次男として1870年12月8日に長崎に誕生しました。
  学習院を卒業後、米国の Pennsylvania University, Medical Colledge で生物学を学んだ彼は、帰国後、父が設立していた「ホームリンガー商会」の社員/重役を歴任し、第二次大戦前まで長崎の実業界/社交界の中心として活躍しました。ホームリンガー商会は、1907年に長崎汽船漁業を設立し、イギリスから輸入した鋼製トロール漁船により五島沖などで操業を開始しました。グラバー図譜の編纂が始まったのはちょうどこの時期であり、水揚げされた魚介類を見て生物学を学んだ彼が、図譜の編纂を思い立ったことは想像に難くありません。
  その後、第二次世界大戦が始まると、混血児だった彼はスパイとして官憲のきびしい監視の中で苦難の生活をおくりました。そして、終戦直後の1945年8月26日、彼は自ら命を絶ってしまいました。

長崎県立長崎図書館 所蔵

 

  グラバー図譜は通称で、正式な名称は 「Fishes of Southern and Western Japan 日本西部及び南部魚類図譜」 と言います。これらの図譜は、明治末から昭和初期の約25年間の間に、倉場富三郎Thomas Albert Glover)により編纂されたもので、中村三郎などの手による主として海産の魚介類約800図、全32集から構成されています。
  図譜の大半は魚類ですが、一部にエビ/カニ、タコ/イカなどの甲殻類/頭足類とイルカやウミヘビなどの哺乳類/爬虫類が含まれています。標本が残されていないことと、一部の図で鱗数や棘軟条数などに誤りがあることは残念なのですが、描写がきれいで断面図や鱗の拡大図が添えられていることは研究資料として特筆すべき点と考えます。
  この図譜は、富三郎の死後に図譜を託された渋沢敬三氏が1950年に長崎大学水産学部へ寄贈し、学部の移転/組織変更等を経た1984年から、中央図書館に保管されています。

  なお、このデータベースは、田嶋記念大学図書館振興財団の助成金と水産学部の関係者各位のご協力とご理解に基づき、長崎大学附属図書館において電子化したものです。